原田そよ後援会
原田そよの主張

2010年12月
▼人口減少に伴う下水道事業の見直しが急務

2010年12月
●詩人永瀬清子の生家の保存を求める

2010年12月
●TPP参加に反対する意見書

2010年5月
●赤磐市元職員及び職員の背任及び虚偽公文書作成容疑調査特別委員会中間報告

2010年4月
●ごみ広域化の「誤り」と、一部事業組合の「弊害」が証明された約10年間の報告


原田そよは赤磐市議会12月議会の一般質問で、人口減少に伴う下水道事業の見直しが急務になっていること、詩人永瀬清子の生家の保存について井上市長に問いました。このページでは、下水道事業の見直しに関する原田そよの質問と、市長答弁を紹介します。

2011年1月 原田そよ


下水道事業の見直しが急務

●原田そよ

それでは、本日2点について一般質問を行わせていただきます。まず最初に、人口減少に伴う下水道事業の見直しが急務となっていることについて。

下水道事業における下水運搬施設、下水管のことですが、この建設投資は処理施設、下水処理場ですが、これに比較して7割と大きな負担になっています。これは公共下水道に限らず、農業集落排水事業でも同様です。投資の大半を運搬施設に持っていかれています。このような運搬中心の投資となるような下水道計画を抜本的に見直す時期が来ていると思います。

1988年度の行政監察で、下水道と下水道以外の処理方式の建設コストを比較しています。処理人口1人当たりの建設コストが下水道では93万円に対し、農業集落排水事業は46万円、コミュニティプラント18万円、戸別合併浄化槽では15万円となっています。工事にかかる時間の比較は、公共下水道では30年、農業集落排水では四、五年、コミュニティプラントでは2年、戸別合併処理浄化槽では二、三日とかなりの格差が出ています。これらの結果、下水道以外の処理方式を積極的に位置づけることに政府もなっています。

下水道の建設費は、1ヘクタール当たり4,000万円。1ヘクタールに家が100戸あれば、1戸当たり40万円。1ヘクタールに10戸であれば、1戸当たり400万円となります。合併浄化槽の建設費を1戸当たり100万円とすると、下水道で整備する場合、1ヘクタール当たり40戸以上家があれば下水道のほうが安くなる計算となります。建設費だけで見れば、1ヘクタール当たり40戸以上の区域は下水道、40戸未満の区域は合併浄化槽が経済的であると言えます。1ヘクタール当たり40戸以上というと、人口密度にして約120人。これから予定されている赤坂地区で人口密度が100人を超えてる地域はどこでしょうか。

地方公営企業年鑑によると、1988年度の全国の公共下水道の汚水処理経費は8,590億円、下水道使用料収入は5,484億円です。公共下水道事業のうち、下水道使用料金で賄うことにされている汚水処理の赤字は3,100億円、90年度は3,800億円、91年度は4,350億円に拡大しています。これほどの赤字を生む背景には、過大な計画、安易な計画が汚水処理の遅延と赤字を生んでいます。赤磐市のように既にスタートしている計画についても、できるだけ効果的な計画になるように見直すことが必要です。

さらに、年鑑では、本来使用料で回収すべき汚水処理費に一般会計から相当の繰り入れが行われている。使用料で回収すべき処理原価の4割余りが一般会計から繰入金等により補てんされている。このような使用料水準は適正なものと言いがたく、今後とも使用料水準を処理原価に近づけるよう、その適正を図っていく必要があると言っています。
赤磐市の場合、21年度の一般会計からの繰入金が6億9,755万5,000円。この金額は総収入における21%の割合で入っています。

汚水処理原価

ここで、赤磐市の処理原価を見てみたいと思います。私が持っている資料は平成21年度の資料ですが、赤磐市には6つの浄化センターがあります。山陽地域が2カ所、熊山が2カ所、吉井が2カ所。これで見ますと、かかる費用が山陽地域では2カ所とも170円、120円に対して、使用料が、これは1立方メートル当たりですが、140円、150円と、ほぼ費用と使用料がとんとんになっていますが、熊山にいきますと、費用が約450円、470円の金額ですが、使用料は山陽とほぼ同じ150円前後になっています。これですと、約3割使用料が負担していますが、7割が税金で補てんされているということになります。吉井に至っては、417円、986円と費用がかかる地域があります。この986円になりますと、もう実質使用料は118円、133円となってますから、約1割の使用料をいただいて、9割が税金で補てんされている。この国が、監察局が言っているように、4割どころか、やはり赤磐市でも7割から9割、もちろん山陽町は健全ですが、熊山、吉井ではそういう使用料が費用に対して実際は2割から3割の負担しかないまま運営されてきているということが明らかになります。

そこで、合併浄化槽を見てみますと、個人が設置する合併浄化槽の国庫補助金制度は1987年度から開始されています。1989年には総務庁行政監察局の汚水処理事業に対する監察で、下水道は浄化槽や農業集落排水に比べ、コストも時間もかかり過ぎることが指摘され、汚水処理事業間の調整を行うように勧告がありました。これにより、1991年に厚生省と建設省が合意し、さらに1993年に生活環境審議会の浄化槽専門委員会がまとめた今後の浄化槽行政のあり方では、合併浄化槽を投資効率の高い住民密着型の社会資本ととらえ、市町村の生活排水処理計画に基づき、地域住民と一体となって面的に整備すべきものと位置づけています。

この報告をもとに、1994年には公営浄化槽制度が創設されています。ここで言う公営浄化槽制度とは、市町村が設置する合併浄化槽制度のことを言います。1995年には、浄化槽構造基準の改正で、下水道の高度処理と同じレベルの性能基準が設定され、家庭用浄化槽が製品化されています。

公営浄化槽は国庫補助、下水道債の適用、地方交付税措置など、財政的にも公共下水道とほぼ同じ制度になっています。下水道よりも合併浄化槽のほうが有利なものもあります。例えば、合併浄化槽の自治体負担分の8割が特別交付税で措置されていますが、下水道建設費の起債元利償還金は普通交付税で5割が措置されるにすぎません。また、合併処理浄化槽設置事業は一般行政の事業ですが、公営になった場合は戸別排水事業を含め、水道や下水道と同じ地方公営企業に分類にされています。対象地域は、当初事業促進法に基づく地域に限られていましたが、2003年に特別の法律の指定地域でなくとも浄化槽が適している地域にはこの制度が適用できるようになっています。この公営浄化槽事業を行っている市町村は2003年度には170市町村、37都道府県と増加しています。

公営浄化槽のコストを見てみたいと思います。地方公営企業年鑑2001年度をもとに、処理原価と平均使用料を見ると、平均建設費1基当たり140万円、平均処理原価222円、平均使用料144円、原価回収率65%。小規模の下水道や農業集落排水事業が500円前後に比べ、浄化槽の平均処理原価はその半額以下となっています。

また、この浄化槽の耐用年数と耐震性についてです。建設費で一番高くつく部分は、浄化槽の場合は槽本体であり、下水道は管渠、下水管です。浄化槽躯体の材質はFRP、繊維強化プラスチックが多く、下水管は埋設延長の大半は塩化ビニールです。ともにプラスチック系であり、ともに地下に埋設され、紫外線から遮断されています。しかし、道路下にある下水管のほうが他の地下埋設物などの影響を受けやすいし、違法な放流を含め、下水管のほうが悪質な排水が入れやすいので、傷む可能性が大きいと考えられます。管渠、いわゆる下水管の延長が長いことはそれだけ損傷のリスクが大きいということです。また、浄化槽躯体の耐用年数が実績30年以上と言われている意味は、構造基準を告示したのが1969年であり、古いものでも設置されてから40年です。ここ訂正いたします。40年ほどしかたっておらず、躯体がつぶれた浄化槽もないので、耐用年数は毎年更新されている状態です。

阪神・淡路大震災で合併浄化槽はほとんど壊れていません。95年3月に行われた神戸市と淡路島の121基の浄化槽調査で、住宅が損壊している場合でも小型合併浄化槽にはほとんど損傷はなく、破損して使用不能だったのは神戸港の大型1基だけと報告されています。2003年5月26日に発生した宮城県沖地震の震度6弱地域では、調査した合併浄化槽1,034基のうち、異常があったのは8基、このうち本体に異常があったのは1基だけで、他の7基は配管類の破損でした。被害が大きかったのは大型の浄化槽で、小型の浄化槽は被害があっても軽微だったということです。

汚水処理費のうち使用料で回収されてる割合は、全国平均64.1%、処理区域内人口の減少、有収水密度の低下に伴い、低下する傾向になっています。赤磐市で見ても、使用料、手数料における下水道使用料及び農業集落排水使用料等の収入未済額は2,527万3,100円であり、前年度2,156万4,222円に対し370万8,878円、17.2%増加しています。分担金、負担金の収入未済額も増加しています。赤磐市の平成21年度決算審査意見書では、これらの収入未済額は供用区域の拡大に伴い年々増加しており、受益者負担の原則により、引き続き収入未済額の解消に努力されたい、また今後の供用区域の拡大に伴う収入未済額の抑制に努められたいと指摘されています。経済性の視点から汚水処理を考えていかなければならない時期になっています。

下水道の事業主体は自治体です。しかし、下水道が国庫補助による公共事業として進められてきたため、自治体の主体性は希薄でした。国庫補助の有無や補助率は、下水道と浄化槽、流域下水道と公共下水道などの事業種別、処理場と管渠などの施設区分、管渠の口径と処理面積、都市規模、新設と再構築などの区分により差がつけられており、この差をえさに国の下水道担当者の思う方向に自治体の選択を誘導してきた歴史があります。

 国庫補助対象施設の国庫負担率は5割程度であり、補助非対象施設の国庫負担率はゼロです。このため、事業全体の財源に占める実質国庫負担率は三、四割程度にすぎず、残りはほとんどが起債で賄われています。そして、起債の元利償還が後年度の負担となり、これが下水道財政に巨額な赤字をもたらし、その赤字補てんのために一般会計に大きな負担を与えています。

公債費推移

ここで、赤磐市の公債費の推移を見てみたいと思います。私の手元には、平成20年度までの借り入れにかかわる公債費の推移の表をいただいております。一般会計以外に特別会計が5つあります。その中に下水道があるわけですが、平成22年度だけを見てみますと、一番少ない公債費の金額が250万円、これは元金と利子を足したものです。250万円は宅地造成費です。2番目が病院、これが4,700万円。3番目が水道会計8,000万円。4番目が簡易水道会計、これが8,800万円。最後に下水道ですが、これが8億円。飛び抜けて大きな公債費負担を抱えています。

そして、さらに言えることは、私が持っている資料は平成30年度までしか集計がされておりませんが、下水道会計以外は、ほかの4つは皆30年度に向けて減少しているにもかかわらず、下水道は30年度に向けてふえています。ここでマックスを見ると、平成26年度では、22年度が8億円に対して、26年度になると9億2,600万円。この下水道の公債費は年々増加していくということです。この資料は平成20年度までですが、現在もう22年度。恐らく、これがどんどんふえていくだろうと思われます。

しかし、せっかく経済的にも、環境的にも、防災上も、建設期間が短時間で設置など、さまざまな有利な条件があるにもかかわらず、なぜ各自治体は見直しを進めないのでしょうか。既に汚水処理事業を廃止している市町村では、公営浄化槽制度を活用するためには既存の下水道計画の見直しや変更が必要であり、計画が進んでいるほど公営浄化槽のメリットが小さく見え、また抵抗勢力を説得するのが難しい。これはダムや河口堰の見直しと共通する現象と言えます。俗に言われるお役所仕事で、一度決まると後戻りできない悪い習慣の弊害と言えます。

以上の結論から、2003年からは経済性が公共下水道の国庫補助要件に入っています。経済性を重視する計画手法への転換が今まさに下水道では求められていると思います。いかがでしょうか。

▼井上市長の答弁

本市における下水道整備方針については、さきの9月議会で答弁いたしましたとおり、山陽地域では公共下水道による集合処理、赤坂地域では山陽処理区へ一部編入する集合処理と合併浄化槽による個別処理を組み合わせた手法で汚水処理構想を昨年度策定し、これに基づき現在事業を進めております。御承知のとおり、下水道事業は長期に及ぶことから、御指摘の点を踏まえ、定期的に財政状況、人口減少等の社会情勢を検証し、効率的な事業推進が必要と認識しております。

これに際し、集合処理、個別処理ともメリット、デメリットがあることは認識しております。個別処理、合併浄化槽のデメリットとしては、放流される水質が窒素、燐といった富栄養化原因物質等の除去が公共下水道と比較して確実でないことです。山陽、赤坂地域においては、砂川を経由して、閉鎖性水域である瀬戸内海へ処理水を放流することから、上流域で生活する者の責務として、山陽浄化センターにおいては高度処理を採用しているところです。

また、赤坂地域の将来を考えた際、幹線道路に面したエリアでは、工場等の進出、企業進出も見込まれるところです。この際、浄化槽建設及び維持管理に要する費用負担がネックとなり、企業進出の弊害となる可能性もあります。既設の事業所において、浄化槽での汚水処理に要する費用、参考として赤坂支所ですと年間浄化槽が162万円がかかっておりますが、汚水処理に要する費用が相当になることから、公共下水道との不公平感が生じてきます。

今後の下水道整備に際し、御指摘の経済性だけでなく、これら環境面、将来性等を総合的に勘案した下水道整備が必要と考え、事業推進してまいりたいと考えております。

●原田そよ

まず、下水道の問題ですけれども、私は長々と資料と格闘して勉強してまいったことをここで提案させていただきました。以前にも1度、合併浄化槽のほうが経済的にも環境面でも防災面でも必要ではないかと提言したときにも、いやもう現下に予定どおりの計画でいきますとお答えがあったので、あえて今回根拠をもって質問をさせていただいたわけです。その割には従前と変わらない御回答で、いささかがっかりしたわけです。ただ1つ、今回まちづくり総合基本計画の見直しの中で拾いましたが、吉井の給水原価が非常にバランスが悪くて、高くなっている問題に対して指摘しましたが、滝山地区が当初農業集落排水で計画をされていたものを合併浄化槽に見直すというプランが出されていたことにほっとしております。

ただ、私はもっとより大きな負担が生じるであろう赤坂地域について、市長の御答弁の中に主要道路幹線では企業誘致もあり得るのでというお話ですが、私は企業誘致を当てにしてやったところで、果たして来るか来ないかわからないこれからの経済見込みの中で、これだけ大きな公債費の負担、要するに財政の硬直化が予測される中でそれをあえて踏み込むのかどうか。これから、たしか市長はきのうの福木議員の国保のことで何かびっくりする発言されてましたね、ある時期になると基金が枯渇すると。初めてお聞きしましたけど、そういう危機感があるんであれば、やはりこれから新しい計画に踏み込もうとするこの時期にこそ、今申しましたように、2003年度からは公共下水道の国庫補助要件には経済性が加味されておりますし、極めて冷静に、今後の人口減少の問題もありますので、検討されるべきだと私は思っております。

人口減少のことについてちょっと触れておきたいと思います。赤磐市の将来推計人口は、2030年には3万7,689人、約13%、6,000人の減少が見込まれております。人口減少社会に入ることが確実である現在、2030年推計人口などを参考に、これまでの下水道や農業集落排水などの事業計画、すなわち集合処理区域について新規事業の中止や縮小など、全体処理計画の見直しを早急に行う必要があると思います。人口減少社会における生活排水処理の基本は集合処理ではなく個別処理である。将来の不確実性を踏まえた施策を行う必要があると思います。

高度成長期に集中的に整備された社会整備基盤の老朽化が進行している現在、社会資本の維持管理、更新のためのコストが増加することを踏まえて、これからはライフサイクルコスト、要約しますと、構造物の計画、設計から建設、維持管理、解体撤去、廃棄に至る費用。要するに、一つの建物が計画されて、設計されて、建てられて、使われて、最後に焼却される、いわゆるすべての見通しを立てた、そういう概念を取り入れた総合的、戦略的計画がライフサイクルコストと言いますが、そういう視点で赤磐市の5年、10年先を見越して、人口減少による財政の硬直化が予測される現在、いま一度見直しについてお考えをいただく必要があると思いますが、改めてお尋ねします。

▼井上市長(答弁)

下水道整備につきましては、平成21年度に見直して、集合処理区域の設定に関する経済性の検討の中で、家屋間の限界距離を80メートルとして、区域のほうを現在は設定をしております。現在、そういう形の中で事業推進をしていこうということで計画を立てております。

それから、原田議員が御心配のように、下水道は大変お金のかかる事業でございます。そういう中で下水道の特別会計の今後について、下水道事業全体について計数的な見直しは現在行っております。そういう中で、どういうふうな形でやっていくかというのは、先ほど全体の赤磐市の長期の財政見通しもありますので、そういう中で下水道計画事業についての本当にどういう形になるのかっていうのは現在数字の見直しは行っておりますし、あと滞納を含めて、どのように収納していくのか、また今後のコストに見合う下水道の量っていうのはどういう水準がいいのかというのも含めて、全体として考えていかなければいけない問題だと思っております。

そういうことで、現在山陽地区内で工事を進捗していっております。また、赤坂地域は次の計画の中で検討することになります。現状は今お示ししている地域での下水道処理ということで考えておりますけれども、これはやはり財政も当然ありますので、そういうことを十分検討しながら今後の課題とさせていただきたいと思っております。
ただ、すぐに見直しますとか、そういうことではなく、やはり全体の財政状況を見ながら、その中で下水道についても考えていかなければいけないという認識は持っております。

●原田そよ

お答えの中にそういう認識は持っているということ何度も繰り返していただいてるので、ぜひ、市長ですから、私以上に財政の現実を知っていらっしゃる立場で慎重な御判断をお願いしたいと思います。

原田そよの主張

2010年12月
●人口減少に伴う下水道事業の見直しが急務

2010年12月
●詩人永瀬清子の生家の保存を求める

2010年5月
●赤磐市元職員及び職員の背任及び虚偽公文書作成容疑調査特別委員会中間報告

2010年4月
●ごみ広域化の「誤り」と、一部事業組合の「弊害」が証明された約10年間の報告


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