地域に広がる有機農業―地域から自治体へ
2006年に成立した「有機農業推進法」は今後市町村の計画策定が本格化されます。自治体は地域の特性や、課題を把握し、農家を含む地域の住民や関係団体を取りまとめていくことになります。有機農業は多面的な性格を持っているため、「国際有機農業運動連盟」が2008年に定めた有機農業の定義を参考に説明します。
「有機農業は土壌・自然生態系・人々の健康を持続させる農業生産システムである。それは地域の自然生態系の営み、生物多様性と循環に根差すものであり、これに悪影響を及ぼす投入物の使用を避けて行われる。有機農業は、伝統と革新と科学を結びつけ、自然環境と共生してその恵みを分かち合い、そして関係するすべての生物と人間の間に公正な関係を築くとともに命・暮らしの質を高める。」
わかりやすく解説すると、
持続可能性が最も重要とされていること。言い換えると生産性重視ではない。土と自然生態系と人間の健康が切り離されずに結びつけられていること。地域の生物多様性と循環を前提としていること。伝統と革新と科学を結びつけること。生物と人間の間に公正な関係を築くこと。(生物と人間の関係を見る際に倫理的視点が入っている。)生命と生活の質を高めること。効率性や経済性重視ではない。そしてこれらの条件の一部を満たせばいいのではなく、すべてを考慮しなければならないこと。
有機農業が地方自治体へ果たしている機能
学校給食への食材提供、食農教育ではオーガニックビレッジという補助事業があります。大分県臼杵市では「健康を中心にした住み心地一番のまち」というコンセプトに有機農業と、有機学校給食が位置づけられています。石川県羽咋市では市とJAはくいが連携し、羽咋式自然栽培の「地域ブランド化」を通じて新規就農者の増加、耕作放棄地や空き家の再生、地域コミュニティの活性化につなげるモデル作りの実施中。他にも山形県置賜地方の「地域産業との連携、地域自給」、岐阜県白川町、愛媛県今治市など魅力的なまちづくりが取り組まれています。
一部の紹介となりますが、今後議会報告会や、一般質問、まちづくり特別委員会での議論など、積極的に議論を深めて行きたいと思います。