今「水道の民営化」が問題になっています。
昨年、水道法が改正されました。これによって、「自治体が公共施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却できる制度、これをコンセッション」と言います。簡単にいうと運営権を民間に売ってしまうということです。
現在自治体の水道事業は人口減少や管路の老朽化の更新等に直面しており、将来の運営に不安が募っている状況です。まさに弱り目にたたり目の時に国はなんと赤磐市に5000万円の手を差し伸べてきたのです!なぜかというと、 国の100%補助の5000万円をもらえたところは、全国で5自治体、1団体だそうです。全国で5自治体の一つの赤磐市です!もちろん岡山県でもらったのは赤磐市だけです。なぜでしょうか?
そもそも熊山の複合型高齢者施設の運営・設計建設事業を市長はPPP,PFIで執拗にやりたがったのです。厚生委員会ではこのことについて学習もして、執行部へ手法について適正なものか質しました。その結果執行部からの納得いく説明がなくPPP、PFIで行うことは否決されました。PPP,PFIとは今回のコンセッションと同様に行政財産を民間へ丸投げして運営させるもので、公共施設としての住民の諸権利が失われるというリスクが大きいものです。この時市長は国の担当者を呼んで勉強してます、と言っていたのが、今回の5000万円につながったと思われます。内閣府の担当者とのパイプを活用したのだと思います。そうでなかったら全国の中の5自治体に赤磐市が入るわけがないでしょう。しかし資料を読み込むと自治体の規模が30万人で民間の利益が出るボーダーと言われているそうです。4万4千人の赤磐市がどれだけ近隣と広域化しても30万人にはなりません。結局5000万円の内コンサルタントに発注した金額は2千数百万円。半分以上は国へ返金したそうです。
問題はここからです!
コンセッションとは水道管や施設は公有のまま施設の運営権を民間にゆだねる方法と言われています。民営化になると、企業の役員報酬、株主配当、税金などに使われコスト高になります。また運営を長期間まかせるため、だいたい20年くらいが委託期間だそうです。長期による弊害として責任の所在、お金の流れなど経営情報が不明になります。実際の事例ではフランスのパリ市で1985年に民営化され、2008年までに水道料金が174%値上がり。イギリスでも定められた上限いっぱいまで値上がりしています。南米ボリビアのコチャバンバというまちでは1999年に民営化され上限いっぱいまで値上げしたせいで困窮者は月100ドルの収入に対して20ドルの料金になり、払えない家庭の配給を止めたため暴動が起き6人が死亡するという悲惨な状況が起きています。同様なことはベルリン、クアラルンプールでも起きています。
民営化による経営の不透明さも起きています。情報の隠ぺいによりパリでは民営化で営業利益は7%台と報告されていたが、その後解約して再公営化して帳簿を調べると7%どころか、15~20%になっていて、税金は不払いで利益の多くは役員報酬にまわされていた。これらの結果2000年から14年間で世界で180件が再公営化されています。
しかし日本政府はこの方式を選択した自治体に税制面での優遇措置をとっています。政府は選択肢の一つと言いながら自治体に優先的に検討させる仕組みを作っていて、その一つが今回の5000万円です。
国内では大阪市、奈良市、浜松市などが取り下げています。住民が反対に立ち上がったり、まともな議会や行政では、これだけの危険な情報があふれている中、取り合わないのが常識です。
昨年末発足したTPP11は今後海外の多国籍企業が条約を盾に国内の儲かりそうな事業に入ってきます。国民が困ると言って反対してもTPP11という国際条約では民間企業の利益が最優先されます。国内法でも阻止できなくなります。種子法等はその最たるものです。国内農業が海外の種子・農薬業者の参入で従来の地域に根差した農作物の保護・継承、里山保全、多面的機能などは一掃される危険が目の前に来ています。それを推進しているのが、安部政権です。
政治倫理審査会のその後
委員会の立ち上げを請求した一人として審査会の運営を進める前に、委員長の指名を受けました。その後の話し合いで私が入札疑惑に関する捜査の協力を警察に求められて情報の提供をしていたことで、委員としてふさわしくないとの委員のみなさんの判断で、自主的に辞任しました。私としては不本意でしたがみなさんの意向でした。
その後委員会へ入札事業を担当した委員会の委員長として出席してこの疑惑の経緯を説明しています。審査方法について私としてはいくらかの指摘をしたのですが、委員長には取り合ってもらえず、審査方法について異論はあります。しかし現在進行形の審査ですから、内容については意見は差し控えます。3月議会の最終日には委員会報告をするようですから、それを待って私の意見をご報告したいと思っています。