9月議会の主な報告 2 2021年8月 そよかぜ第107号

(2)庁舎の耐震改修工事の計画見直しについて

市長は令和元年9月以降、庁舎の耐震化改修工事の計画を進めてきました。市の基本コンセプトによると、この計画はあくまで「近い将来、想定される大規模地震に対応するための早急な防災対策としての機能強化のため、大規模改修に当たり...防災拠点としての機能を十分発揮できるとともに...」
このように現在市長が進めようとしている計画は、県が令和元年に発表した洪水浸水想定に基づいた計画ではありません。なぜなら市長は令和元年8月に県から「市民へすみやかに通知するように」求められていたにもかかわらず、議会の中では「浸水想定最大規模」は「イタズラに市民を怖がらせる」「避難が現実的でない」などを理由に深刻な浸水想定の新データーを市民へ隠し続けました。議会には市長は「浸水しても30㎝」「水害被害の対策は不要」などとウソ発言しています。

そのため議会は本年3月議会で、庁舎耐震改修工事費用を修正動議により工事予算を止めています。なぜなら新たな浸水想定を念頭にした「安全な庁舎の建設」を見直していく必要があるのです。浸水想定は、県の資料によると、「市役所2.2メートル、立川3.3メートル、岩田6.3メートル」さらに「液状化被害、地盤が河川より低いところでは1週間以上水がひかない、氾濫流による家屋倒壊、河岸浸食」(県の資料から)と予測され、現在の市役所の場所は決して安全なところではありません。

 これらを裏図けるデータが発表されました。
8月9日、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書 【熱波8.6倍 豪雨1.5倍 すでに気候危機は現実のものとなっています。】

今年だけでも、6月以降、カナダ・米西海岸の熱波、ドイツや中国・河南省での洪水、ギリシャやトルコでの山火事、北米の寒波、アフリカの干ばつなど、気象災害が頻発しています。
報告書では、1度気温上昇した現状でも、50年に1度の熱波の起こりやすさが4.8倍に、10年に1度の豪雨が1.3倍に、農業や生態系に影響を与えるような干ばつが1.7倍。さらに温暖化が進めば、熱波は1.5度上昇で8.6倍、2度上昇で13.9倍に達し、10年に1度の豪雨もそれぞれ1.5倍、1.7倍に増える。日本を含む東アジア地域は、豪雨の頻度と強さが増え、土砂災害が増え、強い台風の発生頻度が増えると指摘しています。
そのデーターを裏図けるように、日本では3年目を迎える西日本豪雨被害、今年7月4日、熱海市での土石流被害。また1年目を迎える「令和2年7月豪雨」の大雨被害は、消防庁によると九州、四国・中国、北陸地方などで、84人が死亡。2人が行方不明。全半壊した住家約6000棟。
そして今年もまた、8月12日から降り続く前線停滞による大雨により、福岡県の筑後地方、熊本県熊本地方、大分県、宮崎県、長崎県、に土砂災害警戒情報が出されています。西日本豪雨の被災地域も広島県をはじめ岡山県内にもすでに河川の氾濫など影響が出ています。熊本県の被災地では、今なお3700人が仮住まい、鉄道3路線運休、球磨川は流出した10か所の橋の内4か所に仮の橋が設置。
何十年に1度、100年に1度、1000年に1度という掛け声が、実に根拠のない希望的な言葉であるか、むなしく聞こえます。「災害は忘れなくてもやってくる」

こうしてみると、県が発表した「浸水想定最大規模」の被害は「1000年に一度の稀な災害、発生頻度はきわめて小さい事象」などと言ってきた市長の発言は打ち砕かれたと思います。 さらに市長は「毎回想定最大規模の水害に対する避難行動を行うことは困難かつ、現実的でない」と区長・町内会長会議(令和3年4月)で書面を出しています。 これほど災害に対する危機意識の低い市長の下では、市民はせめて生命を守るため、想定の避難訓練は実施するように求めていきましょう。