沖縄名護市への表敬訪問から学んだこと

4月25日~27日に「立憲主義と地方自治を守る議員の会」の沖縄訪問団に参加しました。訪問団は13人(市議・町議9人、元議員1人、市民3人)です。
しかし4月25日は選挙後の臨時議会のため、私は26日から遅れての参加となりました。
26日は13時に那覇空港に到着し、名護市役所に直行して15時からの名護市議会の仲村議員、川野議員、仲宗根参事の3人との懇談会に参加しました。
自己紹介のあと名護市の抱えている課題を聞きました。

名護市は沖縄本島北部にある人口約62、000人、面積21,000ha。内、市面積の11%が米軍基地です。基地は

  1. キャンプシュワブ(面積2,042ha)
  2. 辺野古弾薬庫(面積121ha)
  3. キャンプ・ハンセン(面積113ha)
  4. 八重岳通信所(面積2.5ha)です。

そのうえ政府は「世界一危険な飛行場」といわれる普天間飛行場を閉鎖する代わりに名護市辺野古に新基地建設を強引に進めようとしています。この施設の面積は205haで,東京ディズニーリゾートの2倍以上。水面から約10メートルの高さで建設されます。埋め立て予定地や埋め立て土砂採取区域には名護市の貴重な文化財(琉球王朝時代の街道、関連遺跡群等)が点在しており、この施設が建設されればそのほとんどが消滅します。

また「墜ちる」と言われて危険なオスプレイは2016年12.13に民家付近の海岸に墜落、大破しました。このときも捜査権は米軍にあり、日本の警察は立ち入ることさえできませんでした。墜落原因の究明もなされないまま、米軍は安全宣言を出しすぐ訓練を続けています。さらに軍属による20代の女性をレイプ後惨殺した事件は記憶に新しい米軍による犯罪です。

日本国民として憲法に守られるべき沖縄県民は日米軍事同盟の安保条約「日米地位協定」によって、米軍の管轄下に置かれるという理不尽な状態が1972年の本土復帰以来45年間続いています。明らかに憲法違反です。
沖縄県民は2014年11月県知事選挙で、翁長知事を仲井真元知事に10万票の差を付けて当選させています。12月には衆議院沖縄小選挙区で、自民前職4人全員を落選させ、基地反対を訴えた候補が勝利しています。まさに沖縄県民の民意はここで明確になっているのです。

2010年に当選した稲嶺名護市長の
「軍事基地に頼らないまちづくり」は素晴らしい!

政府は基地反対を訴える稲嶺市長に対し「再編交付金」(米軍再編に伴う交付金)の交付を中止しました。中止された事業は13事業、約40億円。しかし稲嶺市長は、11事業を通常の補助事業を活用し実施しました。これは辺野古新基地建設の「再編交付金」に頼らなくても事業実施ができることを実証しました。さらに前市政に比較して一般会計予算(287億円→382億円)、建設事業費(69億円→108億円)、基金積み立て(38億円→58億円)も大幅に増加しています。【2009年→2015年】この説明で、前市長は「基地ありき・交付金ありき」の基地依存型市政であったことがわかります。これに対して稲嶺市長は「平成26年度の年間予算総額が初めて400億円規模まで拡大した。これは「再編交付金」に頼らなくても良好な財政運営を保っていることを示している。基地のまちでは無く、将来にわたって無限の可能性を秘めた名護市であることを県内外に発信していく。」と胸を張っています。

今、地方自治が危機です。沖縄が象徴的ですが、国は沖縄県民の意思を踏みにじり、機動隊を全国から数百人動員して、基地反対を訴える人びとを暴力的に弾圧しています。地方分権、地方自治の権限はどこにいってしまうのか!福島原発問題も同じです。事故前の被ばく限度は年1㍉シーベルトですが、避難解除の被ばく限度は年20㍉シーベルトです。放射線医療施設(病院など)は年5.2㍉シーベルト。18才未満の子どもは立ち入り禁止です。20倍もの汚染地から、子どもたちの被ばくを恐れて自主避難した人への家賃支援を、政府は3月末で打ち切りました。「強制帰還政策」といえます。

これは沖縄、福島だけの問題ではありません。今夏には原発の高レベル放射性廃棄物処分場の候補地を選定したい政府の思惑が動き出します。果たして自治体は最後まで拒否できるのでしょうか。他人ごとでない自治の危機です。